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日本秘湯を守る会について

旅人の心に添う秘湯は人なり… 日本秘湯を守る会

日本秘湯を守る会は昭和50年4月、「秘湯」という造語を生み出した、㈱朝日旅行の前身である㈱朝日旅行会の創業者であった故岩木一二三氏の提唱により、バスも通わぬ交通の不便な小さな山の温泉宿33軒が集まり創立されました。

大阪万博をきっかけとし日本中に旅行ブームが持ち上がり、温泉地や観光地の宿泊施設はホテルと名を変え、鉄筋コンクリートの大型化を競い合った、高度経済成長の真っ盛りのなかで、旅行業界の目覚しい発展が始まった時代でした。このような時代背景のなか、「今の状況は、本来の旅の姿ではない。人間性を置き忘れている。旅の本質を見失っている。何時の日か人間性の回復を求め、郷愁の念に駆られ山の小さな温泉宿に心の故郷を求め、本当の旅人が戻ってくる。旅らしい旅が求められる時代が来る。」、「日本の温泉のよさを保ち、環境保全に努める経営理念を相互に啓発・啓蒙する温泉旅館を集めて共同宣伝、相互誘客を図る組織の結成を」との岩木氏の提唱は、収容力が少なく、交通も不便でいかにも効率が悪く、旅行業者も見放すほどの小さな温泉宿、近代化の波に乗れない山の宿にとっては一筋の光明だったのです。

2年後の昭和52年に会員は38軒に増え、個々には作成できなかったパンフレットとして、岩木氏が取材執筆した紀行文を収録した冊子、「日本の秘湯」が刊行されました。共同宣伝、相互誘客の一助としての冊子発刊でしたが、ほぼ2年毎に改訂版を発刊することとなり、現在185軒を収録した第16版を発刊するに至りました。
昨今、温泉は社会の大きな関心事ともなり、温泉ブームと云われるようになりました。このような背景の中で、温泉に関する膨大な情報誌が発行され、情報が氾濫しており、あたかも源泉かけ流しでなければ温泉ではない、と認識される方が見受けられますが、日本秘湯を守る会は、源泉かけ流しであることを加入条件にしている会ではありません。冷鉱泉の宿もあれば、湯量も豊富とは云えず循環浴槽の宿も会員になっています。先に述べたように時代の流れから取り残された感のあった山の宿で、温泉のよさを守り、自然環境の保持、保全に努める前向きな取り組みをする者、共同での宣伝、相互誘客に賛同した宿の集まりとして発足したのです。
日本秘湯を守る会は、地球の恵みであり、限りある地下資源である温泉に感謝することを忘れることなく、その利用と管理に充分な配慮をし、枯渇させることなく守り続けるために自然環境の保持・保全に真摯に取り組んで行く宿の集団であります。

高度経済成長時代、どこかに置き忘れてきた人間性が、いつか求められるときが来る。日本の原風景とう云うべき故郷を、自然風景を渇望する時が来ると信じ、流行と云う上面に流されることなく、忘れてはならないもの、変えてはならないものは何かを問い、求めてきました。いろいろな思いを胸に旅に出る人々の心根に思いをはせ、旅人を迎える宿と人がどうあるべきか、宿を取り巻く自然環境、温泉環境がどうあるべきかを問い続け、”旅人の心に添う 秘湯は人なり”は日本秘湯を守る会の永遠の理念であり、使命として認識し、多くの旅人に支持され、愛される宿の集まりでありたいと願っております。

日本秘湯を守る会 会員宿一同

日本秘湯を守る会の歩み

1975年(昭和50年)

・ 4月、33軒が集い日本秘湯を守る会が発足

1977年(昭和52年)

・会員宿38軒を収録した「日本の秘湯」を創刊(第1版)

1979年(昭和54年)

・会員宿58軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第2版)

1980年(昭和55年)

・日本秘湯を守る会会長、岡村隆造初代会長(法師温泉・長寿館)から佐藤仁右衛門会長(青根温泉・湯元不忘閣)へ

1981年(昭和56年)

・会員宿68軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第3版)

1982年(昭和57年)

・この頃よりテレビ業界に秘湯ブームが起きる

1983年(昭和58年)

・会員宿へ10泊で1泊無料招待のスタンプ事業をスタート

1984年(昭和59年)

・会員宿80軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第4版)
・日本秘湯を守る会会長、佐藤仁右衛門会長から佐藤好億会長(二岐温泉・大丸あすなろ荘)へ

1986年(昭和61年)

・会員宿102軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第5版)

1988年(昭和63年)

・会員宿104軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第6版)

1991年(平成3年)

・会員宿104軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第7版)
・5月、初代会長 岡村隆造氏逝去(76才)

1993年(平成5年)

・会員宿104軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第8版)

1994年(平成6年)

・スタンプ帳による年間招待者2000人を超える

1995年(平成7年)

・会員宿119軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第9版)

1996年(平成8年)

・会員宿124軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第10版)

1998年(平成10年)

・会員宿128軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第11版)
・スタンプ帳による年間招待者5000人を超える

1999年(平成11年)

・会員宿135軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第12版)

2000年(平成12年)

・会員宿141軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第13版(日本の秘湯第12版と同表紙)
・ビデオ「旅館読本」並びに「岩木一二三講演」制作・配布
・神水館で第1回目の次世代研修会を開催
・名月荘で第1回目の秘湯の女将研修・親睦会を開催

2001年(平成13年)

・「秘湯を守って 二十五周年のあしあと」制作・配布
 (監修:日本秘湯を守る会25周年編纂部会、著作・編集:岩木一二三氏)
・会員宿145軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第14版)
・スタンプ帳による年間招待者8000人を超える
・11月、会設立の提唱者・岩木一二三氏逝去(73才)

2003年(平成15年)

・会員宿156軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第15版)
・スタンプ帳による年間招待者10000人を超える
・1月、二代目会長佐藤仁右衛門氏逝去(81才)

2004年(平成16年)

・4月、法人格を取得「有限責任一般社団法人日本秘湯を守る会」として再出発
・4月、法師温泉・長寿館で第1回目の日本秘湯を守る会OB会を開催

2005年(平成17年)

・日本秘湯を守る会OB会創設記念誌「秘湯の峠道、先達の歩み」発刊
 (著作・編集:高瀬寿美氏)

2006年(平成18年)

・会員宿185軒を収録した「日本の秘湯」改訂版発刊(第16版)
・スタンプ帳による年間招待者14000人を超える